短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~
まぁ、私たちのする漫才は、オリジナルでは大体こんなレベルのもので、あとはテレビでやってる芸人たちの真似事だった。
特に彼は、その背格好と顔つきが当時流行っていた芸人(今も活躍しているが)になんとなく似ていたので、その芸人の真似をしてよく笑いを取った。
「お前に食わせるタンメンは、ねぇ!」
とポーズを決める彼に向かって
「タンメンなんか誰も頼んでないわよ!」
と私が言って、彼をハリセンで叩く。
彼は私が何度ハリセンで叩こうと、ハイヒールで踏みつけようと、ひどい言葉を浴びせようと、いつもニコニコ笑っていた。
そして、私だけを見ていた。