短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~
「ねぇ、大地」
繭は大地の部屋をノックもせずに開けると、大地の前に座った。
無断で部屋に入るのはいつものことだから、大地は驚きもしない。
いつもと変わらぬ笑顔で、繭を迎えてくれた。
「繭、どうした?そんなシンミョーな顔つきで」
大地に、そう見透かされたような気になる。気づけば繭は、大地の前に正座していた。以前なら、大地のベッドにゴロンと横になったり、良くても体育座りしていたところだ。
・・・私、今まで本当に大地に甘えっぱなしだったんだな。
繭は、自分の伸びた背筋に、ほんの少しだけ成長した自分を感じた。
「今日は、大事な話をしに来たの」