短編集~The Lovers WITHOUT Love Words~
想像をはるかに超える状況を目にした恵一の脳内で、全シナプスが煙を上げて暴走を始めた。
修道女がここで何をしているのだというか俺は2ヶ月に一度しか日本に帰ってこないということは雪音は一体どれくらいここでこうしていたというのだ修道院で何があった追い出されたのかまさか俺が原因かそれともあれか、俺は今確かに週末何をしようかと考えて雪音のことをちらりと思ったが何かの拍子に知らないうちに超能力が使えるようになっていて、雪音がここに瞬間移動でもしてしまったというのか、いやそれならば豆腐はどうした、その前に俺は「あぁ、冷奴もいいな。豆腐も買ってくれば良かった」とちらりと思ったのだ、超能力のせいならば豆腐も瞬間移動してきていないと辻褄があわない。
恵一は手に持っていたビニール袋の中を確認する。
豆腐は入っていなかった。
恵一は少し安心したが、
・・・もし仮に豆腐が瞬間移動してきたら、俺は万引きしたことになるのか?
シナプスが暴走して全く関係のないことを考えている自分に気づき、ようやく我に返った。
「・・・お前、いつからここにいた?」