ラブ&トラップ
「今度は俺が聞いていい?」


「ん?」


「あの日あんな夜遅くに男と居た理由。」


真剣な顔を向けるかずくんと、脳裏をかすめる店長の顔。


私とかずくんとの電話を奪って『もうかけてくるな』と一方的に電話を切った店長。


「あれはこの前も言ったけど、スイキュットの店長で、別になんの関係もないよ!」


そう言いきれる。


そう言いきれるのに、昨夜の店長との帰り道を思い出すと、何もないのにやましいこと隠してるみたいな気持ちになる。


「私が何日も帰ってこないかずくんを待って寝不足が続いてたせいで、バイト先迷惑かけちゃって…。家に帰りたくないって思ってたら店長が泊めてくれたの。」


かずくんは私が話してる間真剣な眼差しのまま黙り込んでた。


「本当にやましいことが何もないから素直にかずくんに話せるんだよ!その日泊めてもらったけど、お互い別々の部屋で寝て、お互い触れもしなかった。」


昨日の帰り道でのことを言わないのは卑怯かな?


突然のキスと店長の秘めた想い。


言ったらかずくんは怒るだろうし、それを隠してる私はずるいのかもしれない。
< 167 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop