ラブ&トラップ
「ちょっとは強くなったんじゃね?」


当たってもいないのに何言ってんだか。


「今の蹴りは威力半分ですよ。」


「ちげーよ。おまえ自身の話。」


どういうこと?


「いや、最初はやっぱ表情も曇ってたけど、泣かないんだなーと思って。」


んー、まぁ確かに気持ち的には一気にグサッと重い物が刺さった感じはしたけど、でも自然と涙は流れなかったなぁ。


「気持ちのどこかで、"あぁ、やっぱりな"っていうのがあったのかもしれませんね。もう既にどこまで信じていいのか分からなくなってた部分があるから。」


「それで付き合ってるってゆーのが俺には理解不能だな。」


呆れ顔の店長とは打って変わって、私は思わず笑いがこぼれる。


「それ、一番私が思ってることかもしれません。」


「当事者が笑いながら言うことじゃねーだろ。」


そう言って、また店長にボールペンで叩かれた。
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