ラブ&トラップ
「俺がそう言ってから、一度も直接おまえには触れてないんだが。ちゃんとわかってんのか?」


ちょっと動いたら触れちゃいそうな距離。


「そ、そんなこと、こんな距離で言われても説得力ないです...よ。」


「俺のこと"母親みたい"とか抜かすからだ、ばーか。おまえ別れたら、覚えとけよ。」


冷ややかな笑顔に怖くなって、倉庫の壁掛け時計へと目を移す。


「て、店長!私そろそろ出勤しないと、瀬名さんがお店で待ってますので...。」


店長があからさまに"おもしろくない"と不機嫌な顔を向けるも、私は気づかないふりをして倉庫を走って出た。


び、びっくりしたー!


心臓が、鼓動が早く波打ってるのが分かる。


走ったからってことにしておこう。
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