ラブ&トラップ
足を気遣ってか、待ってろと言われて駐車場に向かう店長の背中を見届けると、すぐに目の前に車が停車した。


「おじゃまします」と一声かけて乗車すると、行き先も告げられずに発車する。


「あの。どこでごはん食べるんですか?」


沈黙を最初に破ったのは私だ。


別に沈黙が気まずかったとかではないけど、この状況で一番気になることといえば、その話題だった。


所持金だってそんなに多くないし、なによりあと1ヶ月以内には引っ越さなくちゃいけない私に取って出費は避けたいんだもん。


「なんか食いたいもんあんのか?」


「え?いや、特にはないですけど。」


というか、食事に誘うくらいだから店長がもう行くお店決めてるんだと思ってた。


「じゃぁなんも文句言うなよ。」


「?」


文句言う食事って一体何?
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