ラブ&トラップ
そうやって無口な姿だけを見れば、女の子がキャーキャー騒ぐんだよね。


盗み見してて気がついたけど、もう食べ終わってる!


私まだ全然残ってんだけど。


少しだけ食べるスピードを速めると、横で雅斗が立ち上がって食べ終えたお皿をキッチンへ運ぶ。


「気にしないでゆっくり食べてろ。」


あ、バレてた。


「コーヒー淹れるけど飲むか?夜眠れなくなるならミルクティー淹れるけど。」


リビングに顔を出した雅斗の手にはドリップコーヒーを淹れるためのフィルターを折っていた。


「あ、コーヒーで大丈夫です。ありがとうございます。」


やっと食べ終えてお皿をキッチンに持って行く頃には、もうコーヒーのいい香りが漂っていた。


「ごちそうさまでした。すごく美味しかったです!」


せめて洗い物はやらせてもらおうと思ってたのに、私が食べ終えるまでの間にほとんど終わらせたみたいで、シンクの中には何も置かれていなかった。


結局自分の分のお皿だけを洗って水切りかごに重ねていく。
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