ラブ&トラップ
「フッ。動揺しすぎだろ、おまえ。」


そ、そういう不意打ちな笑顔にも違う意味で心臓が高鳴る。


「だって本当に前から思ってたんですもん。前に私に勿体ないとかって言ったじゃないですか。自分の考えしっかり持ってて、周りだって付いてくるだけの魅力があるのに、私自身が周りを見てない...とかって話で。それと同じことを私も思っていたんです。」


前に雅斗と仕事帰りに行ったお店でお酒を飲みながらそう言う話をした。


「酒が入ってたのに、意外と覚えてるんだな。」


「それだけ印象に残ることを言われたってことです。」


もったいないだなんて、早々人に言われることないもん。


少なくともそう言うことを言ってくれた人は私の人生の中では初めてだったし。


「よく仕事中とか外出先でも、雅斗を見かけて好意を持つ人はたくさんいると思うのに、本人は他人に対して一見優しくないように思わせる言動ばかりしますよね?ちゃんと気持ちは優しいのに、言葉も行動も優しさが遠回し過ぎて気づきづらいです。それじゃせっかく人を惹き付けるいい部分を打ち消しちゃうことになりますよ。」
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