ラブ&トラップ
「へぇ。おまえが俺に対してそんなこと思ってるとは知らなかったな。」


そう言われて、ついつい言い過ぎてしまったと我に返る。


飲みやすい温度になったコーヒーを数口飲んで反省するも、もうさっきの話は雅斗の耳に入ってるわけで。


「うちは両親が厳しかったからな、ガキの頃はいい人間を演じてた部分があった。でもそれじゃ自分が苦しくなるだけだしな。物心つき始めた頃から言いたいことは言って、思った通りに行動するようになったんだ。で、今に至る。」


雅斗にも爽やかな少年時代があったんだ。


普通に考えれば、物心ついて反抗期になったまま大人になった...って感じ?


「それに初めて会ったヤツに好意もたれても、嬉しくもなんともないだろ。俺のこと大して知らないのに、好意を持つこと自体が理解不能。俺のことなら身近にいる連中が理解してさえいればそれで十分だ。」


「確かに言われてみれば、おっしゃる通りで。理解出来ました。」


結果、本当にただ余計なこと言っただけだった。
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