ラブ&トラップ
やっぱりここに足を踏み入れたことが、そもそもいけなかったのかもしれない。


じゃなければ、こうやって何度もドキドキすることもなかった。


じゃなければ、こうやって店長を雅斗と呼ぶこともなかった。


じゃなければ、こうやって私の頬に優しく触れる雅斗の手にも酔いしれることはなかった。


じゃなければ、.....こうやって目を瞑ることもなかった。


唇に軽く落とされたキスが、雅斗の存在を許してしまった証。


それを引き金にして、雅斗の気持ちに歯止めが利かなくなる。


腰に回された手によって、座っている雅斗の右足と左足の間に身体が引き寄せられて、お互いの体温を近く感じられるようになった。


容赦なく侵入してくる舌に全身が痺れて熱くなる。


「フッ.....んっ」


苦しくなるくらい深いキスに思わず漏れる声。


その声が雅斗の気持ちを高ぶらせ、自分の恥ずかしさが高まることにも、こんな状態じゃ気づけるわけもなく。
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