ラブ&トラップ
左側の顔にかかる髪を優しくかきあげられたと思ったら、雅斗のいい香りが鼻をかすめる。


「あっっ!」


ふいに左首に落とされたキスに、思わず身体がビクッと反応する。


雅斗の胸を押し返そうとしても、呼吸が乱れる私には力も出なくて、あっさりと手首を掴まれるだけ。


「ちょ、...ま、さとっ」


小さな声でやっと呼べた名前は、この距離では雅斗に届くには十分。


「なに。」


耳元で静かに囁かれた言葉にさえドキドキする私はもう重症だ。


「んっ」


気持ちが高ぶりすぎて言葉にもならない。


「最初に目瞑ったおまえが悪い。」


分かってる。


拒むことだって出来たのに、目を瞑って許したのは私自身だから。
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