ラブ&トラップ
再び唇にキスをされたのに、それはすぐに離れた。


「悪い。襲わねーって言ったのに、仕掛けた俺も悪かった。」


「え?」


急に体温が離れた身体と、雅斗の言葉に戸惑いの色を隠せない。


頬を優しく親指でなぞる雅斗の指の感触と共に、外気に触れてひんやりと感じるそれの存在に気づかされた。


雅斗に拭われた頬じゃないないほうを自分で触れてみると、そこにはやっぱり水滴があって、いつのまにか自分が涙を流していたことを知る。


「ちがっ。これはっ。」


雅斗のことを嫌だと思ったわけじゃない。


それなのにただそれだけのことも上手く口にだせずにいる。


「自分の気持ち押し付けて、おまえの気持ち無視してたな。やっぱりちゃんとけじめ付けてないのに、こうなるのがいけないことだと理解してたんだろ、おまえは。」


「そうじゃなくてっ。私だって受け入れたけど、けじめっていうか...。」


もう自分が何をいわなくちゃいけないのかも分からなくなってきた。
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