ラブ&トラップ
「林田さん!これはもう呼び込みをするしかないですよ!!」
『えぇーっ』と、あからさまに面倒そうな林田さんの顔は見なかったふりをして、私は一人で声を出した。
「いらっしゃいませー!焼きたてのワッフルはいかがでしょうか!!冷たいアイスクリームもございます。どうぞご利用くださいませー。」
呼び込みなんてファミレスのバイトでもしないから、ちょっぴり気恥ずかしい。
でもそんなこと言ってる場合じゃないもんね!!
「食後のデザートにワッフルいかがでしょうかー!あ、いらっしゃいませ、こんにちはっ!!」
レジ前に向かう人影を視界に捉えてレジ前に走れば、そこに立っていたのは小野オーナーだった。
「あぁっ!すみません、お客様かと思って...。お、お疲れさまです!!」
「いやー、素晴らしい姿勢ですね。その勢いで今後も営業よろしくお願いします。」
「オ、オーナー!?お疲れさまですっ!!」
アイスのバルクを奇麗に拭いていた林田さんが話し声でオーナーに気づいたようで、慌てて頭を下げてきた。
オーナーも林田さんに挨拶を返すと、そのままレジで現在の売り上げ状況を確認すると難しい顔をした。