ラブ&トラップ

「お疲れさまでしたっ!」


無事にファミレスのバイトを終えた私はいち早くお店を出た。


小走りでお店の駐車場を飛び出すと、道路に路駐されている見慣れた車を見て胸が高鳴る。


助手席の窓から運転席を覗くと、音楽を聴きながらタバコを吸っている横顔が見えた。


静かにドアを開けて助手席に乗り込むと、かずくんが明るい笑顔を向けてくれる。


「お疲れ。」


「うん、かずくんもお疲れさま。」


電話越しじゃない、かずくんの声に耳がくすぐったい。


「ちーな。」


「んっ....」


今さっきまでタバコの煙が行ったり来たりしていたかずくんの唇が私のそれを塞いだ。


思いっきりタバコの味がするけど、それがかずくんとのキスの味。


初めてキスしたときもタバコの味だった。
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