ラブ&トラップ
かずくんの味に酔いしれて、思考回路さえなくなる直前に酸素が取り入れられた。
酸素が全身を駆け巡ってハッと我に返る。
「ちょ、待って。かず.....くんっ。」
「無理。待てないから。」
「で、も....ここ、バイト先の前っ。」
かずくんの胸を押す私の手なんて、あっという間に捕まって自由は奪われる。
私の口元や首筋を這うように忙しないかずくんの唇に呼吸が苦しい。
「ちーな。」
私の名前を呼ぶ声が愛おしい。
それでも返事を返すだけの声がでない。
「ちーな。.....会いたかった。」
耳元でささやかれた言葉にめまいがする。
声がでない代わりに涙があふれた。