911の恋迷路
「ハイ、そうですね……でも、気になってること、あって」
「なに」
「おじいちゃんは、お嫁さんの事、すごく心配してるの。変な意味じゃなく て……お嫁さんを気に入ってると思う」
「心配してる?」
「ハイ…、お嫁さん、最近は行動がおかしいらしいの。何か隠してるんじゃな いかって」
「で、浜崎なんて言ったの」
「……気のせいじゃないかって、言っときましたよ」
(正直に、あんたが嫌いなんて言えないな)
浜崎は、つぶやいた。
でもね、なんかさみしいね。家族なのに。
「家族なのに、あたしたちに頼んで家に帰って来ないようにするなんてさ」
「……だな」