911の恋迷路
助手席に座る。健の慣れたハンドルさばきでマンションの駐車場を出た。
「で、品川まで行けばいいんだな」
「えっと、S◎NY本社の前って分かる? 沼田さんの会社、その近くだから、正門近くで待ち合わせなの」
「わかった」
ナビにデータを打ち込み、健は車を走らせた。
東京品川方面に向かって走る車中の中で、健は果歩に確認する。
「沼田ってやつは、ちゃんと来るんだろうな」
「…うん」
「お前、だまされやすそうだから、本当に気をつけろよ」
腹の虫がおさまらないのか、
健は電話でも何度も言った言葉を口にした。