911の恋迷路

 車を稔の誘導で駐車して、3人は沼田家の前に立つ。

 「どうぞ」

 短く言って、稔は3人を居間に通した。

 


 慎に冷たい視線を送るものの、稔の態度は落ち着いている。

 玄関のエントランスから短い廊下を歩くと、
 小さな庭に面(メン)した居間に出る。

 


 薄暗い廊下から明るい居間に入る瞬間、


 まぶしくて果歩は目を細めた。

 

 「こんにちは」

 居間のソファに座っている男性が、あいさつをする。

 窓から入る太陽の光が男の背中を照らして、
 

 目が慣れるまで顔が見えなかった。

 

 目が明るさに慣れてきて、



 その姿と顔がはっきりと果歩の前に現れて…。

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