911の恋迷路

 
 (かなり似ているけど)


 (やっぱり違うわ…)


 驚きと残念な、でも安心したような気持ち。

 分かってしまえば納得だ。果歩は挨拶をするために笑みを作った。


 「花井果歩(はないかほ)です」

 落ち着いてお辞儀なんかも出来てしまう。


 (あたし、ほっとしてる)

 
 チクッと心に刺すような痛み。罪悪感。

 
 陵が生きていたら、どんなふうに会えばいいんだろう。内心は不安で揺れていた。

 

 (でも、この人はだれ?)

 
 挨拶をしてしまうと、新たな疑問がわいてくる。
< 14 / 232 >

この作品をシェア

pagetop