911の恋迷路


 「果歩」

 肩を叩く手に、果歩は振り向く。

 

 健だ。

 「そろそろ、おいとましよう」

  
 果歩は頷いた。


 

 「お茶入れ直しますから」

 稔が気を取り直してキッチンに向かおうとする。

 「いえ…今日はこれで」

 健と果歩は、稔の勧めを断った。

 

 あまり長居したら、稔の母親が帰ってくるかもしれない。
 慎がやはり、居心地悪そうにしているのも気がかりだった。

 果歩はキットソンのバックからドリカムのアルバムを取出して、
 陵に渡した。

 

 陵と一緒に聴いたドリカム。

 『LOVELOVELOVE』
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