911の恋迷路

 「ジャガイモ、もういいだろ」

 果歩の言葉が聞こえなかったように、隼人はジャガイモを気にしている。 果歩の皿に湯気が出たイモの塊を入れてくれた。

 「ゴマダレいいけどポン酢もうまいぞ」

 「うん……熱っ。」

 かじったイモの中はひどく熱くて火傷しそうだ。

 


 涙目になった果歩に、隼人は冷えたビールの缶を頬に押しつけた。


 「本当に…手がかかる」

 口の中が痛い。少し焼けてしまったかも。

 「あんまり手を焼かせるなよな……」

 

 隼人、ごめん。

 あたし、迷惑かけてばかりだよ。

 「今度、火傷しても知らないぞ。陵さんとこ、
  
  辛くならない程度に行ってこい」
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