911の恋迷路
果歩は耳を疑う。
「でも慎とは逢うな」
ビールが進む隼人。
「俺さ、果歩と慎がふたりで逢うなら、慎を殴り殺すかも」
「飲みすぎだよ」
果歩は隼人からビールの缶を奪った。
寄りかかってくる隼人を支える。
隼人の酒臭い匂いが、果歩には哀しかった。
(ごめんね…はやと)
何回、謝っても謝り足らないくらい、
隼人は果歩を支えてくれた。大事にしてくれた。
「果歩……目が回る」
果歩は隼人を引きずっていき、ベッドに寝かした。
そして残りのビールを飲み始める。
今夜は果歩も酔ってしまいたかった。