911の恋迷路
「なんか、噛みつきそうな顔だね。
スッポンみたい」
沢森はスマホで新聞を読みながら、
いつものように耳掻きを楽しんでいる。
「沢森さんって、沼田さんの出社に合わせて出社してきてるんですね、
好きなんですか?」
沼田が浜崎を止めようとするが、
もうすでに遅かった……。
(キャバクラに来ていたときから、この人は気に入らないんだよね)
浜崎のにらみ顔を、
沢森は困ったように笑って見ている。
「言っちゃうか……そういうこと」
隣で沼田も苦笑している。
「沼田、なんか浜崎に言ったのか?」
「いや、これから言おうと思ったんだけど……」
チラリと沼田は沢森を見る。
「おいおい~、意味深だな」
沢森は沼田を見て、にやりと笑った。
「俺と沼田が付き合ってるとか?」