911の恋迷路

 「隼人」

 かすれた果歩の声が、隼人の行為を止める。


 「仕事に行かなきゃ」

 

 (だよな…)

 仕方なく果歩のひんやりした身体を勇人は離した。

 「隼人はきょう非番?」

 洗面所から果歩の声がする。女性は支度に時間がかかる。

 「おう」


 

 (欲求不満だが仕方ない)


 

 隼人はノロノロとブリーフとジーンズを履いた。シャツを身につけて、スマホを携帯する。

 

 「俺、帰るわ」

 「あ、洗面所代わるよ」

 「いいって」
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