911の恋迷路


 (だまされたと思いたくない)

 (でも実家にいたのは、稔『みのる』という弟……)

 (しかも稔さんは慎さんを嫌っている)

 (あたしに慎さんはどうして連絡をしてきたのか)

 

 様々な疑問をかかえて、隼人とともに夜を過ごす。

 ふたりでベッドに入って風の音を聞く。台風は少しずつおさまってきて今夜には行ってしまうだろう。

 

 台風が行くと秋がくる……。

 (また季節が巡るんだ)

 

 「果歩」

 隣から手が伸びて隼人に抱きすくめられた。


 髪に絡められた、ゴツイ手。肉厚な掌が肩から少しずつ背中に回って果歩の腰を抱いた。

 向き合って唇を重ね合う。

 

 しばらくして隼人の唇が首元、鎖骨、ふくらんだ胸へと下りていく。

 果歩は目を閉じて、隼人の与える触感に身体を開こうとした。

 

 隼人はもう一方の手で、果歩の下半身の敏感なところを探りはじめる。

 (ああ)

 果歩は感じ始めた頭の中で、隼人ではない別の人の姿を消すことが出来ない。


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