911の恋迷路
(どうしてあたしに連絡をとってきたのか)
(慎……)
「ああ」
果歩のうめく声に隼人の指の動きが速くなる。
「あ……隼人」
「果歩」
耳元にささやかれる自分の名前。
いつもならば甘美な気持ちにさせられるのに、果歩は隼人を突き放していた。
「どうした、痛かった?」
愛撫されていた果歩の身体の部位は隼人を受け入れる態勢になっていた。
隼人が驚くのも無理ない。
「ごめんなさい」
甘美な時間を壊したのだ。隼人の誘いに応じることが出来ないことに、果歩は謝るしかない。
「今日の事、やっぱ、落ち込んでるよな」