心霊戦隊ハラウンジャー
「おい、早く川村を援護しろ」

「え、でも……」

「何のための刺又だ」

「わかった……!」

水沢に言われ、俺は悪霊に突っ込んで行った。
強化プラスチックの刺又は、霊を貫通してしまうのではないかと思っていたが、そんなことはなかった。
きっと、これにも霊力みたいなのが流れているんだ。

「ナイスよ!迅たん!」

凄く気持ち悪く呼ばれたけど、今はそれどころではない。
俺は刺又で悪霊の胴体を挟み、塀に押し付けた。
もがく力が物凄く強いが、放すわけにはいかない。
放したらたぶん、俺が殺される。

「でりゃぁあああああ!」

俺の横から、緑の光を放つ薙刀が降り下ろされた。
その時の川村さんは、まさに男の中の男だった。
悪霊は耳を劈くような甲高い断末魔を残し、消えて行った。
その時、一瞬だけ、悪霊が笑った。
それは、今さっきのような禍々しいものではなく、安らかな……幸せそうな笑顔だった。

「倒したんだ……」

俺はその場にへたり込んだ。
ホッとして気が抜けた。

「倒したんじゃない。成仏したんだ」

水沢が言う。

「助けて欲しかったんだろうね、あの人」

「そうね」

「笑ってたもんな、最後」

三人がそう言って笑う。
この時、俺は初めてこの人たちは本当に凄い人たちなのだと感じた。
戦う前、ちょっと馬鹿にしていた自分が恥ずかしい。





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