心霊戦隊ハラウンジャー
第二話【真紅の若人を導く蒼き陰陽の戦士】
杉の木が鬱蒼と茂る薄暗い山中。
時たま、野犬のような獣の声が響く。
そんな不気味な場所に、その建物はあった。
そして、そこへ向かう怪しげな五人の人影。

「ここが我々、ハラウンジャーの秘密基地」

五人の先頭を歩いていた、スータンを身に付けた中年が言う。
もともと、この「龍刻村(りゅうこくむら)」は、山奥に存在し、田舎中の田舎である。
コンビニまで車で三十分。
スーパーまで車で四十分。
自然がたくさんで緑豊かなところであるが、現代的な生活をするという面では結構不便だ。
それ故か、村の人々の都会への憧れ度が尋常ではなく、度々村興しとして珍妙なイベントが行われる。
しかし、田舎の割には……というか、田舎故か、神社仏閣、教会などが多く存在している。
各宗派同士、全くいがみ合っておらず、寧ろ仲が良いのはこの村の良い特徴だ。

「よくある幽霊屋敷みたいな外観だな……」

秘密基地の外観は、廃屋そのものだった。
古い土壁に植物の蔦が無造作に絡んでいる。
屋根の瓦は、ところどころ無くなってしまっている。

「中は綺麗よ。さ、入りましょ」

オカマが中年の手を引き、基地の玄関へと歩みを進めた。
その後を、デブがゆっくりと追う。
そして、暫し外観を眺めてボーッとしていた迅も、その後を追った。

「ハァ……」

全員が建物の中に入ったのを確認し、今まで黙っていた権之助が大きな溜息を吐いた。
そして、やれやれと言った感じで、漸く彼も玄関へ向かった。





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