心霊戦隊ハラウンジャー

「でも、陰陽寮って明治時代に廃止されたんじゃないの?」

中二病の登竜門とも言えるキーワード「陰陽師」。
勿論、現患者である迅も、陰陽師については少しだけ知っている。
迅は権之助に問いた。

「確かに、陰陽寮は明治に廃止された……表向きはな」

――杉山とは……三年前まで交際していました……。

「表向きって……どういうことだよ?」

――でも、あの男……私を裏切ったの!

「裏の裏で活動を続けて来たんだよ」

――それどころか、私の母まで騙して……それを苦に、母は自ら……

「悪霊や悪魔が巷で悪さしまくるのを放ってはおけないからな」

――私は母の仇を討ったの!でも、私がしたことは……

「そうか……」

――若女将!早まっちゃいけない!

「あぁ……って、お前等、さっきからテレビの音うるせぇんだよ」

「あの殺された杉山って男、若女将の母親の仇だったんだって」

「ありがちよねー」

「うーん、サスペンスの醍醐味って感じか?」

「そんなベタな展開だったのかよ……」

文句を言っていた権之助も三人の雰囲気に飲まれ、加わってしまった。

「……いや、お前も加わるなよ」

迅の呟きは、テレビから聞こえて来る刑事の説得の叫びによって掻き消された。





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