心霊戦隊ハラウンジャー

「そろそろパトロールの時間だよ」

「……パトロール?」

敏江の言葉に、迅は漸く顔を上げることが出来た。
基本、悪霊や悪魔の出現は、普段皆が寛いでいる居間に隣接している「大鈴(おおすず)の間」の大きな鈴がけたたましく鳴ることで彼らに伝えられる。
オハライチェンジャーにも、勿論、その機能は付いている。
しかし、被害を最小限に留めるためには、ご近所のパトロールも必要なのだ。

「あら、もうそんな時間?じゃ、皆、くじ引いてー」

広姿が、穴の開いた箱を持って来た。
パトロールは二人と三人の二組に分かれて行われる。
この時、権之助と迅以外の三人は、彼ら二人と自分という三人チームにだけは絶対なりたくないと祈った。
かと言って、権之助と迅の二人チームにもなって欲しくないと思うところである。

「あたし、B」

「俺も」

「俺もだ」

「俺は……A」

「じゃ、私と一緒」

迅が引いた紙には、「A」と書かれていた。
敏江と一緒だということを聞き、迅はとりあえず安心した。
迅だけではない、権之助以外の三人も安心した。
もしかしたら、権之助も安心しているのかもしれない。

「じゃあ、今日はパトロール終わったら各自解散ね」

クリフォードの言葉に、各々頷き、その場で散った。





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