心霊戦隊ハラウンジャー
「えっ……もしかして、玄関から校庭に出るのか?」

俺はてっきり、ここの窓から校庭に飛び降りて、シュタッとかっこよく着地するものだと思っていた。
……というか、俺の願望……夢なわけだが……。

「そりゃ、俺たち来賓用のスリッパだしさ」

中年が苦笑する。

「お前、窓から飛び降りて見事に着地……とか考えてたんじゃないだろうな」

「いや……」

「ハァ……この中二病が……」

カチーン。
イケメンの呆れたような馬鹿にしたような態度に思わずキレそうになる。
何だこの男は。
ちょっと万人受けしそうなイケメンだからって調子に乗るなよ。
お前の方が余程中二病じゃないか。

「どっちが中二だっつーの」

「あ?何か言ったか?」

「まあまあ……水沢(みずさわ)君、抑えて」

ガン付け合う俺とイケメンの間に、中年が入って止める。
どうやらこのイケメンは水沢というらしい。

「フンッ」

イケメンはそのまま教室から出て行った。

「やれやれだな……さ、俺たちも行こう」

「え、俺、いきなり戦うんスか?」

「大丈夫だって、たぶん」

本当に大丈夫なのだろうか。
チラッと窓を見ると、悪霊だか悪魔だかがギャーギャーと耳を劈くような声を張り上げていた。
……正直、怖い。
世界を救う選ばれた戦士には憧れる……しかし、実際にこういう立場になるとは思いもしなかった。





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