心霊戦隊ハラウンジャー
「遅い」

校庭に着くと、既に中二イケメ……いや、水沢が悪霊と対峙していた。
水沢はこちらを振り向かず、そう言った。
悔しいが、やはり容姿が良いだけのことはある。
結構、かっこいいぞ。
いや、変な意味じゃなくて。

「ごめんごめん、川村さんのまつ毛が……」

「いやーん!ヒロリンって呼んでって、いつも言ってるじゃない!」

「あ!教室におにぎり置いて来ちゃった!取りに行って来る!」

「後にしろブタ!」

何度も言うが、本当に大丈夫なのだろうか。
こんなメンバーで、あの恐ろしい悪霊と戦うことが出来るのか……?
中年に纏わり付くオカマ、教室におにぎりを取りに戻ろうとするデブを必死に制止する水沢。
これが、これから力を合わせて悪霊を倒そうとしている選ばれし戦士たちの姿だと思うと、なんだか恥ずかしくなって来る。
窓からは俺のクラスメイトたちが見ている。
俺の羞恥心が最高にまで上昇した、その時、

ビュッ!

「ぎゃぁあああああ!!!!!」

痺れを切らした悪霊が、触手を出して来た。
それがオカマの横を通ると、オカマは禍々しい悲鳴を上げた。
今まで纏わり付かれていた中年は勿論、おにぎり狂のデブとそれを止めていた水沢、俺、そして、その様子を見ていた学校中の皆が驚いたのは言うまでもない。





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