乳房にメスのレビュー一覧
必死で手に入れたのは、終わらない関係。 けれど、いつの間にか失った、終わりある関係。 君と私は、男と女で。 どんなに足掻いたって、 君は君で、私は私。 ーーー君が、君で良かった。 最後に綴られる紗江子の気持ちに、言葉では上手く表せられない想いが募りました。 『性別がなければ、私達はきっと、愛し合えた。 けれど、性別があるから、私達は傍にいる。』 紗江子と翔のふたりの愛を純愛と呼んでいいのか。狂愛と呼ぶべきなのか。 ふたりの愛は特別で、綺麗で儚いけれど消えることはないもので。 他人が勝手に名を付けてはいけないものなのかもしれない。 必死にお互いの傍にいて、真面目に恋愛と向き合って、涙を流し苦しんだふたりにどうか幸せにになってほしいと、そう願わずにはいられない作品でした。 わたしが今より大人になれたとき、またもう一度読み直したい作品です。 皆さん、ぜひご一読を。
時の流れを感じさせないような、ふたりの世界。 翔と紗江子の関係は、第三者は踏み込めない、踏み込んではいけないもののように感じます。 心さえなければきっと、性に悩むこともなかったでしょう。けれど男であろうと女であろうと、辛くても傷だらけだとしても、愛しいと想う心がある人間であれたことは幸せなことだと思いたい。 何が正解かなんて決められないからこそ、2人は迷い戸惑いながら今を共に生きるしかないのかもしれません。 例え答えが出ず何も残らないとしても、時間は戻らず明日さえ先読み出来ないのならば。何よりも今を、そばにいたいと思う気持ちを大事にしてほしいなと。長いスパンではなくその一瞬が、終わらないとイコールであればいいな、と。 2人が常に本気であることが短編の時とはまた違った感じで伝わり、また別のタイプですが翔のような人が身近にいて、考えさせられる、余韻のある作品でした。
ある意味では性別って人間の根底にあるテーマかもしれませんね それをここまでしっかり見つめて書かれているのは圧巻でした! 読後感は最悪 なのに評価は★5つ…いやそれ以上かも知れない これはそのままこの作品を表してる気がします 正解が何なのか? 考えさせられる作品でした!
乳房にメスを 時にその言葉はメスとなる 時にその思いはメスとなる 時にその愛はメスとなる なにもかもを ズタズタにしてしまいたいほどに どれだけ切り刻んでも あなたを愛するこの心だけは…
色んなことを考えさせられるお話でした。 話が進むにつれ、 もしかして、この人って…… という疑問が膨らんでいきます。 確信を得たいのに、なかなか答えにはたどり着けない。 そしてやっと疑問が解決したとき、 とてつもなくやりきれない気持ちになります。 読んでいてハラハラしました。 ズキズキしました。 私の乳房にもメス。 痛みを味わえるお話です。
*** 恋愛において。 『想いが叶った!』という定義があるのだとすれば、 それは自分の想うナンバーワンの人を手に入れる事なのでしょうか? それとも、想う人のオンリーワンになる事なのでしょうか? 二つとも欲しいですよね。 これは欲でしょうか? もはや本能なのでしょうか? 愛情の在り方、与え方、与えられ方。 結局そんなものに決まりなどはないから、誰だって手探りで自分なりの答えを探すしかない。 だからこそ、 いろんな愛情の形があっていい。 時間がかかってもいい。 自分が選んだ純粋な思いを信じて進んでみれば、きっとその先にある未来に後悔などはないはず。 ――何を言っているのか分からない? それでは是非ともこちらを最後までお読み頂いて……
作品を読んでいる間中、主人公が抱える感情に支配されていました。 これ以上はないくらいに愛されているのに、どこか拭えない不安。 優しい笑顔で、キスで、いくら振り払われても纏わりついてくる得体の知れないモノに。 その正体を知ったとき、グサリと胸を刺されました。 男だから、女だから。 男でなければ、女でなければ。 性別がなければ。 だけど、ソレがあるからこその関係。 これ以上の幸せはないし、これ以上の苦しみもない。 終わらないことの幸せ。終わらないことの苦しみ。 逃れたくて、逃れたくなくて……。 2人が最後に選ぶモノがなんなのか、私には分からない。 どちらが幸せだとも言えない。 ただ、辛い。 このふたつの感情を同じところに同居させながら生きるのは。 辛い。 どうしようもなく。
終わらない関係って何でしょう。 恋人同士が結婚に辿り着いても、 固い友情を誓いあっても、 例え血の繋がりがあったとしても、 絶対終わらないと言える保証のある関係は無いと思います。 むしろ確かに繋がっていると思える形に甘えて、大事なはずの誰かを大事にする事を忘れたりしませんか? 大事な誰かと繋がっていられる奇跡が、当たり前の日常になったりしていませんか? 人は幸せに慣れる生き物です。 翔も紗江子も苦しいけど、可哀想じゃない。 本当は皆彼らくらい必死でお互いの側に居続ける努力をするべきだから。 失うかもしれない恐怖と闘いながら。 だから、彼らは終わらない気がします。 いつか2人に安らぎが訪れますように。
理性と本能の混合物 ――感じたのは不安だった 好きなのに不安、好きだから不安。でも彼はいて、彼の腕は私を包んでいて。この違和感は? 気づかないでいたかった。気づかないで自分で守っている幸せの楽園の中で夢を見ていたかった。 サインならいくらでもあった見逃していただけで、見て見ぬフリをしていただけで。"だめ"だと本能で分かっていたから。 もしも性別がなかったら。もしも欲望なんてなかったら。 今の君は君で、今の私は私で。 もしも、が重なれば。君に惹かれなかったかもしれない。君とこうして一緒にいることが出来ないかもしれない。 何度も何度も、今の自分を傷つけて。切り裂いて。 この自分でなければよかったのにと、この自分でよかったと。 「君が君でいてよかった」 脆弱で終わりがある愛を、傷だらけの終わらない愛を、君に捧げる
男の体と女の体は凸凹。 ちょうどピッタリ合うように神様がつくられたという話。 じゃあ心はどうなのかな? 目に見えない心のカタチ。 凸凹してるのは男なのか、女なのか。 もともとひとつじゃないモノだから、自分の心とピッタリハマる相手が誰なのかわからない。 だけど不完全だと嘆いて、ひとつになりたいと欲して、重なり合いたいと探してしまう。 ようやく見つけた相手。 その人は体も心もピッタリハマるのかな ……―
人は何故 惹かれ合うのか 男は女に 女は男に 性差故に恋愛は成り立つのか 身体が求める女と 心が求める男と 人としての愛と 恋愛との間に違いがあるとしたら それは性が求める欲 欲の向こうにある何かを求めて 自分の性を呪いながら 愛しみながら 求めた先に見えたものは 一度は深く考えてみたい問題です 確かな答えは見つからなくても きっとこれからの糧になる筈 いいよさん ありがとう♪