夢宙〜私の初恋物語〜
奏芽Side

俺の初恋?んなのねぇし。
これが、半年前までの俺。でも、ある子に会って変わったんだ。そう、種田 華夏に。

華夏と初めて会ったのは、高校の入学式のあとだった。やっぱり俺は女と遊んでて、遅れて学校についた。でも、学生証は入学式でもらうはずだったから、もちろんのこともらっていなかった。

そして、俺が下駄箱についたときだった。

「えっと・・・さがみ、かなめ君?」

澄んでいて、落ち着きのあるキレイな声だ。と思った。

だけど、まだまだ幼稚だった俺は

「ん?なに?遊んでほしい?」

こんなことを言っていた。正直、コイツもなびくんだろうと思っていた。でも、華夏だけは違ったんだ。

「はぃ?私、学生証渡しにきただけですから。変な勘違いしないでください。さもなくは110番しますよ」

なんと、脅しの言葉が返ってきたのだ。

俺は、ありえない女だと思った。だけど、次の言葉で前言撤回。

「クスッ、嘘です。そんなことで通報しませんよ」

ドキッ・・・

えっ?ドキッ?な、こいつなんかにときめいてどうすんだよ?!

「あの・・・、顔色悪いですけど大丈夫ですか?」

「ぅわー!!!」

「わっ!」

あ、やべ、驚かせちまった。

「あ、うん。ありがとな」
「いいえ。それでは、失礼します」

「あ、名前、なに?」

俺は、咄嗟にこんなことを口走っていた。

あいつは、ビックリしたような顔をしてたけれど、すぐに笑顔になって、

「1年の、種田 華夏です」

そのとき、確信した。これが、俺の初恋だって。
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