マスカレード【仮面de企画】
「楽しかったよね」


なら、どうしてお前は俺から離れて行ったんだよ。


俺と美幸は三歳違いの幼なじみだ。

俺が高校三年の夏まで、こいつとはうまく行っていた。

ケンカをしたわけじゃない。

突然――本当にある日突然、美幸は俺を避け始め、ギョッとするようなギャルファッションに姿を変えた。

いまだに理由が分からない。


「ねえ、大学院に行ってるはずの巧さんがここで何してるの?」


『たっくん』から『巧さん』に戻ったか……


「バイトだよ」

俺は美幸の横に並んで、下を見ながら答えた。

「知り合いに超常現象の研究者がいてな、俺のコトをESPだと思い込んでる」

「ESP?」

「超能力者の事だよ」


美幸はゲラゲラ笑い出した。


「わたし達の力は単なる遺伝じゃない」

「だよな。だが、『俺達は龍神の子孫で、一族郎党全員神通力を持っています』なんて言えるか? だから誤解はそのままにしている。で、その研究者の紹介で会ったのが、さっきの男――夜光だ」

「あの人は何者?」

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