マスカレード【仮面de企画】
くそっ! 下に行くまで間に合わない!


その時だった


バンッと、ものすごい音がしてホール中に色とりどりの無数の線が現れた。


龍道だ……圭吾か?


羽竜一族が『龍道』と呼ぶ、龍神の通り道だという線だ。

この線を引けるのは一族の長だけだ。

それにしても、一度にこれだけの線が引かれるのを見るのは初めてだった。


「たっくん、早く!」


美幸の叫び声にハッとした。

俺は一番近くの線をたどって、階下に飛び下りた。

線の先はウエイターの男の斜め後ろだった。

近くで見ると、男はトレーと腕にかけたナプキンで隠すようにして刃物を持っている。

たぶんそこにいた人間には、俺が幽霊か何かのように、いきなり現れた見えただろう。


騒ぎになるか?


だが、今夜の俺はついているらしい。

ウェイターの男の手首を掴んだ途端に、会場の電気がパッと消えたのだ。

俺は、抵抗する男を龍道の中に引き入れた。

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