マスカレード【仮面de企画】
男の手首を掴んだまま、俺はさっきのサイドAに戻った。

普通の人間が龍道を通ると軽くめまいがする。
床にたたきつけられた男はすでにフラフラらしく、その手からサバイバルナイフが落ち床を滑った。

美幸が横に跳んでナイフを避け、その後ろにいた人間がつま先でナイフを止める。


人間……か?


男の上に跨ったまま見上げた俺の視界に入ったのは、外国人のように背の高い女だった。

長い黒髪は頭の高い位置で一つに結ばれ、銀の髪飾りから滝のように膝のあたりまでこぼれていた。
ドレスは着物風の一風変わったデザインで、どんな布を使っているのか、動く度に青とも銀とも言えない色に変化していく。

顔半分を覆っているのは金属の――たぶん銀製の――仮面


「その者を縛った方がよくはないかえ?」

女はそう言って、細い糸のような物を取り出した。

「結わえ」


女の言葉と共に、糸が生き物のように宙を飛び、俺の下の男を縛り上げた。


「夜光、男を確保した」


俺は無線を使って報告した。

取り込み中なら聞いてもらえないかもな――と思いながら。

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