マスカレード【仮面de企画】
「ちょっと、わたしは志鶴と会うの久しぶりなんだからね」

今度はセクシーボディがお姫様と内緒話を始めた。

「あんた、圭吾さんとうまく行ってるの?」

「うん、たぶん」

「相変わらず、曖昧な子ね。いい? 亜由美は失恋したばかりらしいの。今日は楽しく過ごすわよ。亜由美を元気づけてやらなきゃ」

「了解」


おやおや……お姫様は無邪気なタイプらしい

彼のいる場所からでも、彼女の左手の指輪がはっきりと見えた。

ダイヤの指輪――それもかなり大きい。

見せびらかすためのジュエリーか?


「柚月(ゆつき)様?」

階段の上から支配人が彼を呼んだ。

彼は唇に人差し指を当て、反対の手で支配人を手招いた。

「あのお嬢さん達が誰か分かるか?」


支配人は少し身を乗り出して下を見た。


「羽竜(うりゅう)圭吾様の婚約者様と、お友達ですね。お友達と言っても、羽竜家の親戚筋らしいですが。先程、多額のご寄付をいただきました」
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