瑠璃の羊

きっかけは一枚の絵だった。

羊の絵。

群れが一様にこちらを見ているのに、一頭の羊だけが空を見上げている。

そしてその羊だけは、何故か瑠璃色。


まるでラピスラズリのような、混じり合った青色。

麻色の下地に、それだけが描かれた絵。
 

そこに添えられた名がナギ・ユズリハ。

一度も姿を見たことがないこの人物にわたしは恋焦がれている。

いや、この名前に、がやはり正しい。

だって恋愛はそのひととなりにするものなんでしょう?

 
そして今、その名はわたしと共に並んでいた。

校内の電子掲示板に貼られた通達文書の中に。


 ナギ・ユズリハ
 ニイ・アマハネ
 以上の者を七日間の寮謹慎とする
 
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