瑠璃の羊
 
その名はひどくさみしいものに思えた。

自分の名と並んでは、どこかもうあの名ではない気がしていた。

そう、あの絵に添えられたからこその名前。

ひどく身勝手な感情だけれど、それが恋ってものなのでしょう? 古今東西、どの小説だって恋は愚かで自分勝手だって書いてある。
 

本来、並ぶことがないであろうふたつの名前。

わたしはそれを喜ばしいことと受け取れない。

わたしなんかと並んではかすんでしまう。しかもそれが謹慎の通告だなんて。

 

寮謹慎。

タイミング素晴らしく明後日からこの学園は夏季休暇に入る。

電子掲示板に記された日付も、明後日から一週間になっている。

謹慎には違いない、だが学校には来てもらう。

そんな意図が見えるベストなタイミング。
 
< 4 / 187 >

この作品をシェア

pagetop