瑠璃の羊
たった五分のオーバー。
それがこの学園では謹慎に繋がる。
寮の門限がいかに重要だというのだろう。
遊びに行っていたわけではない、図書棟で本を読んでいただけだというのに、理由はお構いなし。
大切なのは規則を破ったという事実。頭が固い。
それならば図書棟の戸締り時間を早めるべきだろう。
全寮制なのだから、少しぐらい寮の門限に余裕を持たせてもいい。
それをしないのは、きっと自己管理ができないものをあぶり出すためだ。わたしみたいなのを。
不自由さの中にある自由。
それを知っている身としては、この処分は結構きびしい。
寮謹慎ということは外出禁止。
あの空間に閉じ込められていると思うと、嫌気がさしてくる。
幸いなのは夏季休暇ゆえに、みなが実家に帰っているから顔を合わせなくていいということであろうか。
外にも出れず四六時中、寮生と顔を合わせるとなるとさすがに窮屈過ぎる。
それがないだけでも感謝するべきかもしれない。
いや、もうひとつだけある。
それが幸いといえるかどうかはわからないけれど。