瑠璃の羊
 
天才と馬鹿は紙一重だといわれていた時代があるらしい。

なるほど、わからなくもない。
 

けれど一点違うものがある。

天才は作れない、そこに存在するものだ。
 

それは生まれ持った才でも、努力して得た才でもない。

どういう理屈か何をきっかけに萌芽するのかわからないが、いやもしや最初からそこにいただけで気づかないものかもしれないが、とにかく意図して生まれるものではないのだ。
 

だから、ジーンリッチは天才ではない。

彼らは秀才。天才は意図して作ることができない。
 

では、馬鹿は――?

わたしはその答えを知っている気がする。
 

道化は、自ら作るものだ。


この世界に雨は降らない。

外の天気は関係ないのだ。降ったり、晴れたり。曇ったり、雲ひとつなかったり。

そういうわたしたちの意思ではどうにもならいものが存在しない。

ただ時間がくれば太陽が昇り、やがて橙色に染まり、星空がやってくる。ただそれだけ。

唯一あるのが、季節の移り変わり。

雲の形、日の長さ、星座。そういうのだけ。
 
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