瑠璃の羊
 
黒緑色の中に浮かぶ文字。

その前から一歩離れる。

目が乾いて左目をこする。


帰ろう、そう思って顔を戻した先にクラスメイト数人が立っていた。

灰色の四角の中に、整った姿の男女数人。
 

放課後とはいえ、おりこうさんばかりが通うこの学校はとても静かだ。

でも利口というのは行儀が良いとか人格的に優れているというものではない。

生きることがうまいということだ。

そう、静かなのだって彼らなりに理由がある。
 

そのおりこうさん代表とも言えるクラスメイトたちは、わたしを見て口の端を上げながらねっとりとした視線を寄こしてくる。

重さに比例しないそれは、押し返すのではなく受け流すのが妥当だとわたしはとうの昔に理解していた。
 

狭い、灰色の廊下。

丁寧に磨かれている床が窓からの光を反射させている。

その先に見えるいくつものつま先。

人工的な甘さと混じった汗の匂い。
 
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