先生とわたし
「…柏倉に言う事ないのか?」
「は?ってか、何で琴音泣いてんだ?」
自分がしてた事、覚えてないとか…。
「キスされてるのを、見たんだってよ。」
「あ〜。あれは、あっちから勝手にして来ただけ。…琴音、ごめんな。」
「うん。」
「ちょっと来て。」
「えっ!?」
石黒先生は琴音を引っ張って、洗面所に入って行った。
「はぁー。何してんだか。」
ほんの少し、琴音の息が漏れた音が聞こえた。
「…凄い。」
私なら、こんな公共の場でなんかできない。
「感心すんな。俺、戻るから。」
「あっ。ありがとうございました。」
琴音はまだ戻って来ないだろうから、私も席に戻ってよ。
………
……
…
間もなく琴音が戻ってきて、新幹線を乗り換え、地元に戻ってきた。