先生とわたし
ポストから鍵をとって、祐チャンの家に入った。
「お邪魔します…。」
ゴホゴホ…
奥の部屋から、苦しそうな咳が聞こえた。
「祐チャン、来たよ。」
「おぉ…。ありがとうな。ゴホッ」
目は虚ろで、とても元気がない様子。
これじゃあ、仕事に行ける訳ないね。
「熱計って。」
コクッ
ベッドの脇に置いてあった体温計を、祐チャンに渡した。
ピピピ…
「はい。」
38.5分
「高いね…。病院は行ってないの?」
「行こうとはしたけど、だるくて行ってない。」
「そっか…。薬買ってきたから、ご飯食べてから飲んでね。」
「うん。」
祐チャンのおでこに熱冷シートを貼って、夕飯の準備に取り掛かった。