先生とわたし
最後は現代文。
「智くん大丈夫かな?」
「どうだろうね…。」
一番疑われている訳だから、どんな感じで授業をするのか…。
ドンッ
石黒先生は教室に入って来てすぐ、教卓と道具を叩きつけ、教室全体を睨んだ。
「…相当、怒ってる…。」
「あの睨みって、舞ちゃんに対してって感じだよね…。」
「うん…。あーぁ、後が大変だわ。」
琴音は慣れているからなのか、それほど動じずに、後々のことを考えている。
「今日は前回の続きから進める。258ページの6行目から、榎本、読め。」
「はい。ーーーー」
名字で呼ぶっていうのは、石黒先生が機嫌が悪いっていう証拠。
それにみんなが気付いたらしく、一気に静かになった。
「よし。榎本、ここで筆者が言いたい事は?」
あ。集中的に指していくのね…。
「…解りません。」
「本文中に載ってるだろ。」
トントントントン…
チョークで教卓を叩いて、煽っている。
「もういい。筆者が言いたい事は、"命名する上での基本"。じゃあ、纏めるぞ。」
石黒先生は淡々と、黒板に内容を纏めて行った。
………
「じゃあ終わり。高野と柏倉、ちょっと来い。」
授業が終わって、廊下に出た。
「二人で話すって聞いたけど?」
まだ機嫌悪い…。
「ダメかな?」
「別に。ちゃんと話すならいいけど…。HR終わったら、職員室に来て。」
「「はい。」」