先生とわたし
「…千華。」
「うん?」
「家出た時、電気消したか?」
「消したよ。ちゃんと鍵も締めたし。」
なんで、当たり前のこと聞くんだろう。
「じゃあ、何で電気点いてるんだ?」
「えっ!?まさか泥棒…。」
どうしよう…。
玄関を開けると、そこには見覚えのないパンプスがあった。
祐チャンの元カノとか!?
「祐輔~」
リビングに入るとすぐ、女の人が祐チャンに抱き付いてきた。
「また逃げてきたのかよ…。」
「だってさ…。」
私、居ない方がいいね。
「祐チャン、私帰るね。」
元カノだったら、気まずい。
「お、おい。これ俺の姉貴だから。」
お姉ちゃん?
でも、抱き付いて来たじゃん。
「困らせちゃったみたいね。祐輔の姉の美咲です。えっと…。」
「高野千華です。」
「そう!千華チャン~」
「えぇっ!?」
今度は、私に抱き付いてきた。
「千華、困ってるから離れろよ。で、今回は何したんだ?」
今回は。って前にもあったんだ…。
「聞くまでもない。だから祐輔、相手して?」
相手ってまさか…
「ったく。その度に来るなよな。」
とか言いながらも、美咲サンの飲み物を準備してあげてる。
これなら尚更、私帰るべきだよね。
「私、居ない方がいいだろうから、帰るね。」
「ちょっ。付き合ってくれるんだろ?それに、話聞いたらさっさと追い出すから。」
「分かった…。美咲サンもカレー食べますか?」
「食べる~」
あ、でも美咲サンのお酒がない。
「はい。どーぞ。祐チャンも食べる?」
「後からでいい。な、いい加減ここに逃げて来るの止めろ。どうせ、旦那が迎えに来るんだから。」
美咲サン、結婚してるんだ。
「あんな奴、知らない。」
「何があったんだよ。」
祐チャン、呆れてるし…。