先生とわたし
「祐輔~?」
こんな時に、姉貴来るなよ…。
「…ここにある大量のチョコ、食べていい?」
「あぁ。…何か飲むか?」
涙を無理やり拭いて、リビングに行った。
「コーヒーがいい。」
食器棚に入ってある、千華のマグカップ。
…片付けたくない。
「ん。」
「ありがと。…相変わらずいっぱい貰うのね。」
「あぁ…。」
俺が授業の間や、席を外して居る時に机の上に沢山置いてあった。
中には、直接渡しに来たやつも居るけど。
「ほら高級チョコまで。ね、何かカード入ってる。」
ー明日の放課後、1号館の屋上に来て下さい。ー
差出人の名前がない。
「…どうするの?」
「行く。」
これまでも、こういうのに対してはちゃんと答えてやってる。
ただ今回は、誰だか分かんないから不安だけど、答えは1つ。
「今日も泊まるのか?」
「そのつもりだけど、居ない方がいいなら帰るよ。」
「いや、泊まって。」
1人で居ると、何するか分からない。
「甘えん坊ねぇ~。」
とか言いつつも、俺が泣いていた理由を聞いて来ない姉貴が、珍しく優しいと思えた。
……
「旦那はいいのか?」
巷はバレンタインデーは、恋人と一緒に過ごすのが普通だと思うけど…。
「ちゃんとチョコ置いてきたから、大丈夫。それに会社の女の子と出掛けてるし。」
姉貴はちょっとした会社を経営していて、社長をしているけど、面倒なことは全て旦那に任せているらしい。
……
「心配じゃないのか?」
「雅也(マサヤ)は変なことしないって、信じてるから。」
姉貴が怖くて、出来ないのかも(笑)
「ほら明日も仕事でしょ。早く寝なさい。」
「あぁ。おやすみ。」
「おやすみ~。」
学校か。
千華に会うの、気まずいな…。
………
……
…