先生とわたし
「…おはよ。」
「おはよ♪仕事行くまで目元どうにかしなよ。じゃあ私行くから。」
「ありがとな。」
鏡で顔を確認すると、目が充血していた。
家出るまで温めておけば大丈夫だろ…。
……
少し赤いけどもう時間だし、行きたくないけど我が儘言ってらんない。
……
「祐輔~。いやぁ昨日はマジヤバかった!!…」
智輝が何か言ってるけど、今日は相手できる気分じゃないから放っておこう。それにもう少しすれば、HRで出て行くし。
俺は最悪な事に、1限目から千華に会わなければいけない。
千華はどんな様子なのか、不安なまま、千華のクラスに行った。
教室に入ってすぐ千華を見ると、柏倉と榎本と何事もなかったかのように平然と話してる。
千華が振ったんだから、未練がある訳ないか…。
………
……
…
放課後。
屋上行かないと。
コートを羽織って、立ち入り禁止の扉を開けると、後ろを向いて誰かが立っていた。
…生徒じゃない、な。
制服を着てないって事は、教師の誰か。
誰であっても答えは変わらないんだけど。
「あ、古河先生。わざわざすいません。」
振り向いたのは、矢島先生だった。
「いえ。遅くなってこちらこそすいません。」
「チョコレート、お口に合いましたか?」
「えぇ。ありがとうございました。」
実は俺、食べてない。
気付いたら姉貴が全部食ってたし、俺は千華のクッキーと生徒から貰ったミルクチョコレートだけ食べてた。
……
「…あの。…好きです。付き合って下さい。」
…マジか。
予想はしてたけど、相手が同僚だとちょっと焦る。
「…ありがとう。でもごめんなさい。気持ちだけ受け取っておきます。」
生徒に対してと同じ返事。
「…好きな人、居るんですか?」
「まぁ…。」
「分かりました。急にごめんなさい。」
そう言うと矢島先生は、また後ろを向いた。
俺はそっと屋上を後にした。
………